大判例

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福岡地方裁判所 昭和44年(ワ)1173号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕七、また、前示の事実によると、被告が一旦原告に売渡した本件(1)(2)(3)の各土地のうち、(2)及び(3)の土地は、被告が後に第三者に対し二重譲渡して右第三者に対する所有権移転登記を経たのであるから、社会観念に照し、本件売買契約上の被告の債務である所有権移転義務は被告の責に帰すべき事由による履行不能となつたものであることは明らかであるが(1)の土地については未だ原告に対する移転登記ができるのであるから、形式的には一応、債務の可分な一部((2)、(3)の土地に関する部分)のみの履行不能と見られるものである。

しかしながら、<証拠>によると、本件(1)ないし(3)の各土地は連続して隣接する一劃の土地で、そのうち道路に面するのは(2)、(3)の両土地のみであり、(1)の土地は、(2)の土地の奥に位置し、その周囲は(2)の土地のほかすべて他人の所有地(一部は他の被告所有の住宅敷地)をもつて隣接する袋地で、(2)の土地と切り離して独立に使用できない関係にあり、また(1)の土地は右(1)(2)(3)の一劃の土地の中で面積において小部分を占めるにすぎないものであること、本件売買契約においては、土地の売買代金額は(1)(2)(3)の各土地毎に分別せず三筆を併せた金額で合意されているものであること、以上の事実が認められ、右認定を動かすに足りる証拠はない。

従つて、当初より(2)(3)の各土地を除外し(1)の土地だけであれば売買契約を締結することはあり得なかつた場合であると推測され、本件売買契約においては、(1)の土地のみについて完全な所有権移転義務が履行されても、契約本来の目的を達することができない場合であると認められるので、かような場合は、形式的には履行可能な可分の一部である(1)の土地についても、(2)(3)の土地に関する債務の履行不能により、同時にこれと併せて、被告の責に帰すべき履行不能となつたものと解するのが相当である。

そこで、被告は右履行不能により原告の被つた損害の賠償(填補賠償)をなすべき義務を負うものというべきである。 (渡辺惺)

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